1.石油ファンヒーターの構造や特徴
石油ファンヒーターは暖房器具のひとつで、灯油を燃焼して得られた熱を送風ファンによって排出して温度を高めるというものです。
石油ストーブの一種ですが、単純な燃焼だけをする石油ストーブより燃費が良く、かつすぐに部屋を暖めることができるといった特徴があります。
石油ファンヒーターの構造について
ファンヒーターの構造は、単に灯油を燃やしているのではなく機械的な仕組みによって気化させて空気との混合ガスを作り出して、これを燃焼させています。
気化して空気を含ませたガスを燃やすことによって、通常の灯油ストーブにあるような単に灯油を燃やす方法と比べて燃費がよくなり、すばやく熱を得ることができ、さらに送風ファンによって周囲に温風を排出することで温度を高めることができます。
一方で灯油を燃焼させるという性質から空気は他の石油ストーブと同様に汚れてしまいます。
構造的な種類としては「開放式」「開放式FF式(密閉式・強制給排気型)」「FE式(強制排気型)」の3種類があります。
一般的に国内で販売されている石油ファンヒーターといえば開放式で、この場合には燃焼用空気は室内の空気を使用して、燃やすことで生じたガスは室内に排気されます。
このため定期的な換気が必要です。
不完全燃焼を起こさせないように高度なレベルで安定して、灯油を燃やす事が求められるもので、技術が熟成していない時代においてはFF式やFE式が使われてきました。
FF式では燃焼用の空気を室外から給排気筒を使って送風機を使って強制的に取り入れ、燃やすことで生じた排気ガスは給排気筒を通じて室外に出される仕組みです。
熱だけを室内に送り込むため排気ガスを室内に放出させずに済み部屋だけを温めることができます。
一方でFE式は室内の空気を使って燃焼して排気のみ屋外へ放出します。
FF式もFE式も気管と接続する必要があるため、自由に移動させることが難しいため部屋の設備として設置されるものです。
このような固定式のファンヒーターは冬の寒さが厳しい地域で見られます。
構造的には3種類ですが、もうひとつ選ぶさいのポイントとしては燃焼方式です。
これは燃料となる灯油を気化して混合ガスを作り出す仕組みの違いで電気消費量や着火までの時間に影響します。
種類としては「ブンゼン式」「ポンプ噴霧式(ARCバーナー)」「ポット式(レーザーバーナー)」「ロータリー式」の4つが日本で採用されている石油ファンヒーターです。
ブンゼン式は、灯油を気化器と呼ばれる装置を使い電気で加熱し自然吸気によって取り入れられた空気と混合して混合ガスを作り出すものです。
2.石油ファンヒーターのメリットやデメリット
メリットは初期着火までの時間が短いことや点火や消火のさいの臭いが少ないものですが、デメリットとしては灯油を気化するために電気を消費するため消費電力が大きく、また燃焼用の空気と送風用のファンをひとつで行うため安定させるために送風能力が落ちるといったことが挙げられます。
また自然吸気であるため高地での使用はできません。
それにブンゼン式では気化器にタールが付着することが多く、不具合の原因になります。
ポンプ噴霧式は、燃焼筒で発生した熱で灯油をガス化するもので、このガスと空気を機械的に混合して燃やす方法です。
メリットは灯油気化を燃えている熱で行うので消費電力が少なく燃焼用と送風用の送風ファンがそれぞれ付いており、送風力能力が稼働状況によって左右されにくいことなどが挙げられます。
デメリットとしては着火までに時間がかかることです。
ポット式では、燃焼筒に灯油を流し込み燃やす方法です。
メリットとしては作動中の消費電力が少ないことや気化器を使用しないので動的部分が少ないため構造的に耐久性に優れます。
デメリットは点火までの時間が長く、予熱から点火までの消費電力が大きいことです。
さらに構造上の仕組みから点火と消火のときに石油臭さが他の方式に比べると多いものです。
ロータリー式は回転する円盤状の気化器を使っているもので遠心力で灯油を放出し混合ガスを作り出して燃焼させます。
メリットは、均一な混合気を作ることができるので石油臭さが少ないことや消費電力が低いことなどが挙げられます。
デメリットとしては着火までの時間が長く、回転させるために運転音が大きいといったものです。
3.石油ファンヒーターの特性
石油ファンヒーターそのものの良さと欠点
石油ファンヒーターの良さは、強制的に温風を送り出すため石油ストーブと比べて部屋がすくに暖まることです。
また灯油を気化して混合ガスを作り出すので熱効率が良いといったものがあります。
温度調節機能もありますから、このため部屋を効率的かつ安定的に暖めるといった面が良さです。
一方で欠点は電源がないと使用できないこと、定期的な給油が必要なことなどが普段使っている上で感じる不便な点になります。
特に停電時は利用することが出来ないため石油ストーブの仲間というよりは電気ストーブの仲間といえます。
また不完全燃焼のリスクがあり換気を怠ることで一酸化炭素中毒や不良・不純灯油を使った場合には故障の原因になります。
最終更新日 2025年7月5日 by mariah